伝統文化の継承と創造

パイプオルガンは、長い歴史と様々な風土の中で受け継がれてきました。私はその音楽演奏を通して、「伝統文化の現代における一つの表現」を提案します。

本プロジェクトは、「響きと空間」によって伝えられるオルガン音楽の豊かな世界を現代のコンサートホールで再現するため、美術や他の表現とのコラボレーションを展開します。そして、高い芸術性と、宗教を超えて、現代社会に求められる新しい文化の創造を目指します。

 

プレゼンテーション

1.  ‘場’

ヨーロッパの伝統をもつオルガン音楽を、文化の異なる日本のコンサートホールで演奏するとき、私はまず、その環境の違いに注目します。

主に教会で演奏されるオルガン音楽は宗教的主題を持ち、教会建築や絵画、彫刻などと一体となって「体験」されるものです。

そこで、教会建築とは全く異なるコンサートホールのニュートラルな空間を積極的に活かし、聴覚から入ってくる音楽と、抽象化された視覚的イメージを交差させ、その「体験」を再現することを目指します。

2.  ‘時’

次に、音楽の形式の時間性とパフォーマンスという側面に焦点を当てます。絵画や彫刻などにおいては、視覚から認識された対象は直接思考に働きかけますが、音楽は曲の始まりから終わりまでの時間の中で認識されるものです。

また、音楽は書かれたものが演奏されてはじめて伝達されます。そこには、作曲者、演奏者、鑑賞者という時間の流れも存在します。空間と時間の流れとともに人から人へ伝わるという、この点において、映像やダンスなども同様の形式をもっています。

私は、これらの表現と音楽とののコラボレーションにも取り組んでいます。

 

 

 

 

 

 

  バッハ室内合唱団